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インテリア、エクステリア革施工のご紹介です。日本橋兜町にオープンした食の複合ショップ「BANK」のエントランス扉ハンドル革巻き施工をさせていただきました。

「日本橋兜町BANK」は、旧銀行跡をリノベーションした建物に、ベーカリー、ビストロ、カフェ・バー、インテリアショップ、フラワーショップなどが一体となって集まる、注目のライフスタイル提案型施設です。日本の金融の中心地であった日本橋兜町にふさわしい重厚な佇まいを残しつつ、現代的で上質な空間に生まれ変わっています。このような歴史と新しさが融合する特別な場所のしつらえに携われたことを、大変光栄に思っております。

今回AtelierK.I.は、金属素材のハンドルに一つ一つ手縫いで革を巻き付ける加工を担当しました。金属のハンドルに革を巻くことには、見た目の高級感や美しさだけでなく、機能的な意味も多くあります。革はしっとりとした質感で手にしっかり馴染み、滑りにくくなるため、使い心地が格段に向上します。金属特有の冷たさや硬さを和らげ、手に伝わる温度もマイルドにしてくれます。また、革には保温性や吸湿性もあるため、季節を問わず快適な握り心地を提供します。

さらに、革は長く使うほどに味わい深い経年変化(エイジング)を楽しむことができ、素材の個性や店舗の雰囲気を引き立てる要素となります。職人が手作業で巻くことで、一点ものの特別な仕立てと、温もりが空間にプラスされます。それにより、機能面だけでなく、ハンドル自体が空間演出の一部として強く印象づけられます。

事前にハンドルの直径に合わせて革を裁断し、手縫い用の穴あけ加工を施した革を用意します。現場では、その革をひと針ひと針丁寧に縫い上げていきます。縫い進める際は、革の伸びや繊維の方向に注意し、均一な張りを保ちながら巻き付けることで、シワやたるみを最小限に抑えます。最後に縫い目や革の収まりを微調整して美しく仕上げます。確かな職人技術とこだわりの素材で、エントランスハンドルが唯一無二の特別なものに生まれ変わります。

空間を訪れる方々が最初に触れる部分だからこそ、握った時の感触、手のひらに馴染む温かみを最重要視しました。金属の冷たさとは一味違う、革ならではの上質なホスピタリティを演出します。

金属ハンドルの冷たさや硬さが和らぎ、しっとりと手に馴染む握り心地を実現しました。使用した革はイタリアの伝統的なバケッタレザーで、1000年近くの歴史を持つバケッタ製法によってつくられています。この製法は植物性タンニンをじっくり時間をかけて染み込ませる手間のかかる工程で、牛脂や魚脂などの天然オイルを革の芯まで丁寧に浸透させることで、しっとりとした柔らかな手触りと深いツヤが特徴です。

手縫いのステッチは、職人が一本の糸を使い均一な張力で縫い上げるため、長時間使用しても糸が緩みにくいのが特徴です。機械縫いと比べて、一針ごとに糸を引き締めながら進むため、糸のねじれや引っかかりが少なく、強度を保ちやすいのです。さらに、細やかな調整によって縫い目が安定し、耐久性や美しい仕上がりが実現されます。

AtelierK.I.では、店舗やオフィス、住宅などの空間デザインにおける特注の革製品や、既存の金属製品への革巻き加工など、様々なオーダーを承っております。お客様のニーズに応じた対応が可能ですので、ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご相談ください。

「BANK」のエントランスには樹齢約1000年のオリーブの木がシンボルツリーとして植えられています。時を越えたその存在感は、まるで歴史の重みを物語るようです。一方、革もまた使い込むごとに味わい深く変化し、唯一無二の表情を持つ素材です。熟成するオリーブの木と同様に、革は時間とともにその魅力を増し、空間に温もりと落ち着きをプラスします。この自然の巡りあわせが、「BANK」の歴史と今をつなぎ、訪れる人々に深い感動をもたらしてくれることを願っています。

OEMのご案内

アトリエケーアイでは、革という素材を使い、手の温もりを大切にし、手で出来ることの可能性を追求した仕事を皆さまにご提供しています。革小物やバッグはもちろん、その経験を活かしインテリアや家具等幅広く製作させていただいております。革でこんな事がしてみたい、こんなもの革で作れるの?などのご質問やご提案がございましたらお気軽にお問い合わせください。また、ホームページにてOEMの流れや過去の製作事例をご紹介しています。ぜひご覧ください。

革巻き螺旋階段