今回ご紹介するのは、エキゾチックレザーの中でも異彩を放つ「ジャクルシー」を主役に据えたフルオーダーの名刺入れです。お客様のこだわりと職人の技術が結びつき、既存の製品にはない圧倒的な存在感と機能性を備えた一品が誕生しました。

希少革「ジャクルシー(テジュー)」の深み
外装に採用したのは、エキゾチックレザーの中でも一際異彩を放つ南米原産のトカゲ革、「ジャクルシー(和名:テジュー)」です。その背中に並ぶ鱗がワニ(カイマン)を彷彿とさせることから、別名「ワニトカゲ」とも呼ばれる極めて希少な素材。流通量が非常に少なく、市場では「まぼろしの革」と称されるほど、手に入れること自体が困難な逸品です。

最大の魅力は、他のトカゲ革とは一線を画すその表情にあります。ワニを思わせるゴツゴツとした無骨で個性的な背部の質感と、それとは対照的に整然と並ぶ腹部の独特な鱗模様。この二つの顔が織りなす圧倒的なコントラストは、手に取った瞬間に「特別な一点物」であることを雄弁に語り、唯一無二の存在感を放ちます。

橋本産業のブルーグレーが導く「補色の調和」
内装に迎えたのは、皮革卸の老舗・橋本産業の牛革です。お客様に直接お持ち込みいただいたこの素材は、静寂を感じさせる「渋めのブルーグレー」。 色彩学において、赤茶とブルーは互いを最も引き立て合う「補色」に近い関係にあります。あえて彩度を抑えたトーン同士を響かせ合うことで、エキゾチックレザー特有の野性を知的な気品へと昇華させ、静かで深い高級感を演出しました。

デザインのベースとなったのは、お客様が長年愛用されてきた名刺入れです。手に馴染んだ「いつものサイズ感」や「使い勝手」はそのままに、オーダーメイドならではの工夫で、よりラグジュアリーな形へと進化させました。

悩みを解決する「裏貼り」へのアップグレード
元々愛用されていた名刺入れは裏地のない一枚革仕立てで、裏面が磨かれていたものの、長年の使用による「毛羽立ち」が避けられない課題でした。

今回はその悩みを解消すべく、内側に贅沢に牛革を貼り合わせる「裏貼り(無双仕立て)」へとアップデート。銀面(革の表面)同士を合わせることで、いつまでも滑らかな指触りを維持し、名刺を差し出すその一瞬の所作を美しく支えます。

名刺交換をスマートに変える、一匙のアクセント
内装の片隅には、外装と同じジャクルシーを用いた「ミニポケット」をワンポイントで配置。 これは単なるデザインアクセントではなく、「頂いた名刺の一時保管」や、頻繁に使うカードを忍ばせておくための実用的なスペースです。お客様の日常の所作を分析し、「あと少し、ここがこうなっていれば」という願いを形にした、オーダーメイドの真骨頂といえる意匠です。

「切れ目」と「顔料仕上げ」が語る、積層の美学
仕立ては、革の断面をあえて見せる「切れ目」を採用。断面(コバ)には丹念に顔料仕上げを施しています。 ジャクルシーと牛革、性質の異なる二つの層を寸分狂わぬ精度で貼り合わせ、磨き上げたその断面は、まるで硬質な樹脂のような光沢を放ちます。顔料で整えることで、赤茶とブルーの境界線がくっきりと際立ち、製品全体にキリッとした輪郭と、フルオーダーならではの重厚感を与えています。

「愛着のある形」を継承しながら、まぼろしの革と最高級の仕立てで新たな命を吹き込む。
ジャクルシーの野性味と、ブルーグレーの冷静沈着な佇まい。そして、磨き上げられたコバの輝き。これらが一体となった名刺入れが、日々の仕事に静かに寄り添い、使うほどに手に馴染みながら、持ち主様の歩みを共に刻んでいく「確かな相棒」となることを、心より願っております。

アトリエケーアイでは、今回ご紹介したジャクルシーをはじめ、クロコダイルやパイソンなど、様々な種類のエキゾチックレザーをご用意しております。また、今回のようにお客様が選ばれた「持ち込み革」による仕立ても承っております。「今の使い勝手はそのままに、素材をアップグレードしたい」「長年の悩みを解決する自分だけの形を作りたい」といった、お客様の想いを形にするお手伝いをいたします。ぜひ、あなただけのこだわりをお聞かせください。
オーダーメイドのご案内
アトリエケーアイのオリジナルブランド、PRO-MENERプロムネではオーダーメイドによる財布、バッグ、革小物の製作を行なっています。既存のデザインのカスタマイズはもちろん、ご自身のお好きな形での製作も可能ですのでお気軽にご相談ください。革はPRO-MENERで使用しているものの中からお選びいただけます。厳選された最高級レザーでオリジナルのデザインを形にしてみませんか?詳しくは直接店舗にお越しいただくか、お電話またはコンタクトフォームよりお問い合わせください。参考価格等はホームページのMADE TO ORDERをご参照ください。
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