ベルトメーカーで企画営業に従事した後、AtelierK.I.のスクールに通い独立。現在は山﨑製作所としてアパレルブランドのOEMを中心に活動中。
Student interview-01
Shuji Yamasaki
山﨑 脩二
北千住の駅から歩く事15分。下町情緒溢れる商店街の中程に山崎さんの自宅兼工房がありました。二階建ての一軒家で一階の和室を工房にしていらっしゃいます。一歩足を踏み入れた途端、これぞ革職人!な空間が広がります。ミシンに革漉き機、押入れには革の在庫、吊るされた型紙や革ヒモ、リアルに仕事をしている人の部屋だと感じました。そんな山崎さんが革職人として独立したのは今から3年程前。
「当時勤めていたベルトメーカーが買収されたのをきっかけにアトリエケーアイの教室に通いはじめ、革小物の作り方を基礎から学びました。ベルトメーカー時代は主に企画営業担当で作りに関してはほとんど初心者。」と言う山崎さん。初心者で、3年でここまでできるものなんですね!すごい!
「半年間集中して教室に通って作りの基礎を学べた事が大きかったですね。今でも当時教わったまんまのやり方で製作しています。」
なるほど、教室で学んだ事がそのまま仕事に役立っているようで嬉しいかぎりです。講師である池田耕平も革小物メーカーでサンプルや生産をやってきた下積み時代があるので現場で本当に役立つテクニックやノウハウを教えられるんですね。そんな山崎さんはなんとアトリエケーアイ教室のいちばん最初の生徒さんなんです。アトリエケーアイ教室は技術者不足が深刻な革業界において、職人を増やそうという目的で始めた教室です。第一号の生徒さんがこうして職人として活躍してくれている事は私たちにとっても、とても意味のある事だと感じます。
現在はアパレルブランド等のOEMを中心に仕事をしている山崎さん。
「自分の好きなブランドに声をかけさせてもらって一緒に商品を作っていきます。自分もそのブランドが好きで作りたいという気持ちがなければできないですね。」
好きなブランドの商品を作れるなんてなんだかワクワクしますね。でもOEMには中々大変な面もあるようで、、
「まずサンプルを作ってブランド側がそれを展示会に出して受注を取ります。サンプル製作の納期がタイトだったり、受注生産なので数が安定しなかったり、もちろんコストが合わなかったりする事もあります。」
山崎さんはそれらの不確定要素を改善するために色々な方法を考えています。
「今現在やっているのは革の種類を限定する事です。自分がいいと思う革に絞ってそれをデザイナーに提案します。ゆくゆくは自分でオリジナルのデザインを作ってそれを提案する提案型のOEMをやっていきたいと思っています。」
革の性質や物の作りを熟知した職人側が本当に良いと思える物を提案していく事は職人とブランドの双方にメリットがあると思います。ブランドのデザイナーと年も近く感性も合っている若い職人だからこそできる事ですね。山崎さんのような若い職人がモノ作りの現場にもっともっと増えてくれる事を切に望みます。
山崎さんが独立して最初に作ったコインケース。今でも定番で作り続けているそうです。全てはここから始まったんですね。
工房で使われている機械設備。平ミシン1台。腕ミシン1台。革漉き機は今は無きNISIYAMA製。箔押し機は思い切って新品を導入したのだそう。機械の購入も独立するためには重要な課題ですよね。
近い将来引越しを考えているという山崎さん。その際、東京を離れることも視野に入れているそうです。
「広くて安い作業場に引っ越して体制を整えたいです。打ち合わせの時は自分が東京に来ればいいので必ずしも東京にいる必要はないと思っています。」
確かに東京は家賃も高いし騒音の問題もあって年々仕事がやりづらくなってきているような気がします。山崎さんのように手に職があって自分で仕事を作っていける力があれば拠点はどこでもいいのかもしれません。外注を使わずに自分の工房内で全てが完結している今のスタイルは最大の強みだと思います。
最後に将来の目標を聞いてみました。
「いやー(笑)目標とかはあまりないんですが、このブランドならこのアイテムというキラーコンテンツを作りたいですね。職人ならではの視点から作った物が世の中に広まってくれたら嬉しいです。」
実直な人柄が魅力の山崎さん。この人になら安心して仕事をお願いしたいと思える職人さんです。今回はお忙しい中、色々とお話を聞かせてくださりありがとうございました。同じ革職人同士、これからも切磋琢磨していけたら嬉しいです。
(2018/11/9 AtelierK.I.スタッフ一同)