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Student interview-03

企業向け新人研修

Kさん

バッグメーカー(株)ネギシ勤務。今回、バッグ製作の新人研修としてアトリエケーアイの企業向け研修を受講されました。

●企業研修の概要
アトリエケーアイでは革小物メーカーやバッグメーカーの企業様に向けて技術研修を行っています。日々の業務が手一杯で、新入社員の技術習得にまで至らない、という悩みを抱えていませんか? 革製品のサンプル製作やセミオーダー対応、社内で企画商品を作れる人材の育成にお困りなら、弊社「アトリエケーアイ」にお任せください。革小物メーカーやレザーブランドからサンプル製作の依頼を受けている現役のサンプル職人が、現場で使える実践的な技術やノウハウを指導いたします。ご希望があれば短期集中でも可能です。企業内での指導者不足や時間の確保が困難といった課題をお持ちであれば、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ窓口: info@atelier-ki.com

当研修は、現役のサンプル職人がマンツーマンで指導するため、現場で求められる技術・知識を集中的に身に付けることができます。また、講師は他企業との取引を通じて様々な型紙に精通しているため、偏りがない指導によって汎用性のある型紙作りを学ぶことができます。企業様の希望に沿って柔軟なカリキュラムを組み、負担の少ない研修が行なえる点も好評いただいております。社外で学ぶことで、新鮮な気持ちで取り組んでいただけると共に、予復習を含めた学びの時間をしっかりと確保することができます。

研修を開始する前に、具体的な製作物や習得レベルなどの達成目標をヒアリングした上で、日程や研修内容を提案いたします。したがって、その都度イチからカリキュラムを編成し、企業様のご要望に沿った研修日程となります。また、企業様が企画しているオリジナル製品を自由課題としてカリキュラムに組み込むことができるため、商品開発の一助を担うことも可能です。

企業向けコース-バッグ講座

ここでは、某バッグメーカー様からのご依頼で、新人さんへのレザーバッグ研修を行った事例をご紹介します。受講いただいたのは、研修生Kさん。1年半ほどメーカー関連工場でライン業務を経験していましたが、本格的にサンプル作りを学びたいと、志高く受講を決めてくださいました。

目指すゴールとしては、企業内でのサンプル製作やセミオーダーに対応できることや、社内企画商品を試作できる人材を育成したいというご要望。日程は、弊社実績を鑑みて委託したいとのことでしたので、4ヶ月間のロングスパンで週4日の半日制としました。カリキュラムにゆとりをもたせることで、弊社アトリエでの研修がない時間は企業様の社内で予復習を行うことができ、受講者自身が課題を見つける時間を確保できるためです。

今回の研修では、企画書や図面を基にした製品仕立ての技術習得を目指すため、はじめに基本型をしっかりと学び、様々なデザインに対応できる応用力も身につけられるようなカリキュラムを提案しました。また、革や材料の一式は、企業様がご指定するものをご用意いただき、研修を行う段取りとなりました。

具体的なカリキュラムの中身としては、対応力の礎となる「パターン作り」に重きを置いています。また、顧客や社内メンバーと商品イメージを共有するための「ラフ画スケッチ」も研修の一角を担っています。これは、絵を描くことで実現性ある企画提案がしやすくなり、打ち合わせの段階で有意義なディスカッションを行なう習慣が身につくためです。製作技術だけでなく、それらをつなぐコミュニケーション術について教えられる点は、現役のパターン職人だからこそできるメリットだと考えています。

●課題について
まず、いくつかの代表的な型紙を学ぶことをメインテーマとして、弊社アトリエが課題1~4を設定しました。基本型をみっちり学ぶことで、応用性を試されるオーダーにも対応できる力を身につけていきます。

<課題1>
シンプルで最も基本的な型となる「三角マチトートバッグ」。バッグやポーチなど、様々な革製品のベースにもなります。大まかなデッサンを描き、寸法を詰めていく工程から研修をスタートします。

デザインをラフにスケッチしてから、寸法を細かく決めていきます。

胴表本型にポケットの大きさ、持ち手の位置を描き込みます。図面上だと持ち手の長さがわかりにくいため、型紙に革ひもを合わせながらイメージします。

胴表・上辺のヘリ返しをしています。縫割りのラインかがキレイに真っ直ぐになるようにします。

三角マチトートバッグ

完成です。全ての基本となるトートバックをマスターして次の課題へと進みます。

<課題2>
「バケツトート」は、曲線を扱うため、課題1の「三角マチトートバッグ」よりも複雑になります。横向きにするとリュックなどにも応用できる、汎用性の高い型です。

はじめに、天地の大きさを細かく変えながら、胴の型紙を取っていきます。実際に革で作ると成立しているように見えても、紙だと歪みなどの完成度を左右するアラが見えてきます。

型紙をもとに簡易的なダミーを作成し、サイズ感を入念に確認します。

丸手の縫製をしています。回転紐を先に入れ込んだ状態で縫うことで、たるみが少なく曲げた時にシワが出にくくなります。

バケツトートが形になり、改善点も明らかになりました。

<課題3>
3つ目の課題となる「ブリーフケース」は、メンズアイテムでよく使われる型です。トートバッグであっても通しマチの縫製を使うことがあります。

ファスナーポケットやベタポケのサイズ・位置を、バランスをとりながら決めていきます。

コバや細部にクオリティーが求められます。革の厚み、硬さなどを考慮しながら製作を進めていきます。

厚みの差が大きいため、綺麗に縫うことは想像以上に難しい作業です。

ブリーフケース

完成です。ミシンの扱いも慣れてきて綺麗に仕上がりました。

<課題4>
課題1~3までは、カジュアルなデザイン感を出す袋返しの型でしたが、課題4の「ショルダーバッグ」では、フォーマルバッグでよくみられる切れ目・外縫いを学びます。

デザインを基に、型紙で全体像を見ていきます。

型紙ができたら、裁断、革漉きをしてパーツごとに貼り合わせます。白い革地にコバ色が黒なので、集中する作業が続きます。芯材などの使い方にも工夫が入ります。

胴・冠せ・マチの貼り合わせは、胴が歪まないように注意します。貼り合わせのコバ面が綺麗に整っていると、コバ仕上げを行いやすくなります。

ショルダーバッグ

完成です。コバ、ステッチともに、革とコンビ色で非常に難易度が高い中、かなり完成度の高い仕上がりになりました。

●自由課題について
企業様の要望を基に策定した自由課題は、これまでに学んだ基本型を応用し、受講者自身で創意工夫しながら作業します。実践した結果に対して講師がアドバイスし、問題点を発見・修正してから次の工程に進むスタイルを取りました。今回は、実際に販売商品となる可能性がある課題だったため、いかに無理のない作りにして製品に仕立て上げるか、細かいポイントにも注意を払って進めていきました。

<自由課題1>
クラッチバック(外縫い)。マチ部分の型紙でイメージ通りのラインを出せるかがポイントです。縫製などの技術面は、基本型で充分学んだため安定感が出ています。

ボディバッグ

<自由課題2>
自由課題のボディバッグは、一連の課題の中で最も難しいとされる型紙です。この形は色々な方向から型紙がとれるため、基本に立ち帰って考え抜くことが大切です。

<自由課題3>
ダブルファスナーセカンドバッグ。余り革でダミーを製作しています。図面と見比べて、違いがないか確認します。この段階で、縫製の手順などを念頭に置いて進めます。

ポストミシンを使ったトートバッグ

<自由課題4>
最後の課題は、ポストミシンを使ったトートバッグです。持ち手も、美しく仕上がるようになりました。肉盛りもいい感じです。最後の自由課題では、細かいポイントを伝えるだけの状態にまで技術が身に付き、ほぼ一人で作業を進めることができました。

●おわりに
Kさんの申し出により企業様の了承を得たうえで、研修終了後も週に1度、弊社アトリエに手伝いに来ていただきました。そうすることで、後に生じたちょっとした疑問点や不安に対するフォローができます。技術が定着するまで、最大限のサポートをしたいという想いと共に、自身が携わった製品が世に出ることで、受講者も私たちも達成感ともいえる喜びを感じます。

基礎的な技術から学ばせたいという人材育成にお悩みなら、是非とも弊社「アトリエケーアイ」にお任せください。柔軟なカリキュラムと実践的な指導によって、自立性ある職人養成のお手伝いをいたします。

Student interview-02